読んでよかった本 「東京ロンダリング」

 

内田りさ子、32歳。訳あって夫と離婚し、戻る家をなくした彼女は、都内の事故物件を一か月ごとに転々とするという、一風変わった仕事を始める。

人付き合いを煩わしく思い、孤独で無気力な日々を過ごすりさ子だったが、身一つで移り住んだ先々で出会う人人とのやりとりが、次第に彼女の心を溶かしてゆく―。東京の賃貸物件をロンダリング“浄化”する女性の、心温まる人生再生の物語。

 

 

離婚して全てを失った女性が、都内の事故物件を転々としながら生活する話です。
事故物件が絡む小説ですが、サスペンスやホラーな内容は無く、主人公の女性がその土地その土地で出会う人に助けられて、ゆっくりと再生していく姿を描いた作品です。

 

読み始めは少し退屈な気もしましたが、徐々に引き込まれました。物件を転々とするので話自体のスピード感があるのですが、主人公の心情の移り変わりはゆっくりと丁寧に描かれており、違和感無く楽しめました。

あっと驚くトリックや、伏線回収といったタイプの小説ではありませんが、心が疲れた時にのんびりと読める作品だと思いました。

 

この小説で1番好きな部分が
「いつもにこやかに愛想よく、でも深入りはせず、礼儀正しく、清潔で、目立たないように。そうしていれば絶対嫌われない。」です。

絶対嫌われないということはないと思いますが、普段の生活に活かせる考え方だなと思いましたね。