なんとなくで聞いたことはあったのですがエビデンスがあったようです。ターニケットは局所的なうっ血、壊死状態を作り出してしまうのでできるだけ避けるように。当たり前のはなしですが実際にそれ以上なにか影響がでるとは聞いたことがありませんでした。
かといって完全にターニケットなしで手術するのは結構むずかしい・・・とくにセメント留置の際はないと血液と混じってしまうので厳しいですね。ここは勘弁してもらいましょう。
ほかにも合併症を減らすテクニックが満載です。
・禁煙
術前4週間の禁煙プログラムは創治癒などの合併症を減少させた。
・アルコール
アルコールも術後の内科的合併症と関連がある。でも大規模の慣れた施設だとそこまで差はでないかもしれないと。
・貧血
術前の貧血は、輸血、入院期間、感染症、罹患率、再入院率のリスク上昇と関連している。術前から介入すると減らせる可能性があると。
・術前理学療法
退院を早めるための介入として提案されているが、術前理学療法は術後早期の痛みや機能をわずかに改善する可能性にとどまり、単独では効果が期待できない。
・術前の絶食
手術の2時間前からの透明な水分の摂取は、術後の胃液のpHを低下させ、合併症の発生率を増加させる可能性がある。
・周術期出血の予防-トラネキサム酸
最近のRCTやメタアナリシスでは、全身投与と関節内投与の併用が支持されている(Nielsen et al.
ら 2017)
え!結局エビデンスでたんですね。おまじない程度と言われていましたが、合併症を増やさず出血を減らせるなら使ってみるのは手でしょう。
・パラセタモール(アセトアミノフェン)
パラセタモールは術前または術後ケアユニット到着前に予防的に投与した場合、PONVを減少させることが示されている。
これもしりませんでした。海外ではロキソニンがないのでアセトアミノフェンばっかりつかっているんでしょうか?イブプロフェンとかは?
・予防的抗菌薬
人工関節全置換術のメタアナリシスでは、抗菌薬の予防投与は創感染の絶対リスクを8%減少させ、相対リスクは81%減少した。
抗菌薬含有セメントはTHAではリスク低減の可能性が示されたがTKAでは微妙なのでルーチンでは推奨されないと。
・ドレーン
THA,TKAいずれにおいても創傷感染、血腫、治癒合併症など、意図された使用目的に対してプラスの効果がない
はい。いくらコストがとれるからと言って入れるのはやめましょう。
いろいろ勉強になる論文でした。当たり前といえば当たり前のことがおおいですが。当院で実施できていないのは禁煙やアルコールなど患者要因が強いものですね。ここまで強制するのはなかなか難しいですが、禁煙はやはりやってほしいです
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