抜粋していきます。
リウマチ性多発筋痛症は巨細胞性動脈炎の約3倍の頻度で発症し、発症者の約75%が女性である。リウマチ性多発筋痛症の患者のほとんどが50歳以上の高齢者であり、有病率は70~80歳で最も高い
女性に多く、最も多いのは70代と。
頚部、胴体、肩および骨盤帯の痛みとこわばりで臨床的に特徴付けられ、いわゆる多発筋痛症候群である。こわばりは朝が主であるが、一日中続くこともあり、痛みは夜間の睡眠を妨げる。骨盤帯痛は鼡径部および臀部外側に沿って報告され、しばしば大腿後面および膝に放散する。
朝のこわばり。肩の痛みが有名ですが下肢にもきます。
抗核抗体、抗環状シトルリン化ペプチド抗体、リウマトイド因子を含む自己抗体は、通常陰性である。しかし、高齢者の約10%では、リウマトイド因子が非特異的に陽性となることがあり、通常は低力価である。
血液検査はCRPと血沈のみが陽性でほかは陰性。RFはたまになにもなくても陽性の人いますよね。
ピロリン酸カルシウム沈着症や、頻度は低いが脊椎関節症や遅発性全身性エリテマトーデスも多発筋痛症候群を呈することがある。その他の疾患(悪性腫瘍、感染症、内分泌疾患、神経変性疾患など)がリウマチ性多発筋痛症をまねくこともある。
超音波検査やMRI検査によると、両側の軽度の肩峰下滑液包炎や三角筋下滑液包炎は、リウマチ性多発筋痛症の32~93%にみられる。さらに、肩関節包炎(69%)、腱板腱炎(72%)、上腕二頭筋腱鞘炎(37〜60%)は、未治療のリウマチ性多発筋痛症患者によくみられる所見である
PETでは、肩、胸鎖関節、臀部、坐骨結節、臀部に ¹⁸FDGの取り込みが認められる。リウマチ性多発筋痛症のもう1つの特徴的な病変は、頸椎および腰椎の棘突起間滑液包炎であり、患者の約50%で超音波、MRI、または¹⁸FDG-PETを用いて観察される(図2)
棘間に炎症像があるのは初めてしりました。
診断基準はこちら
欧州リウマチ学会(旧欧州対リウマチ連盟)と米国リウマチ学会は、2012 年にリウマチ性多発筋痛症の分類基準を提唱した
50 歳以上の患者で、両側の肩の痛みと C 反応性蛋白濃度の異常または赤血球沈降速度の上昇を認め、さらに以下の項目から 4 点以上(超音波検査なし)または 5 点以上(超音波検査あり)
– 45分以上の朝のこわばり(2点)
– 股関節痛または可動域制限(1点)
– リウマトイド因子または抗シトルリン化蛋白抗体がない(2点)
– 他の関節病変がない(1点)
– 超音波検査が可能な場合、少なくとも片方の肩に三角筋下滑液包炎がある、 超音波検査が可能な場合、少なくとも片方の肩に三角筋下滑液包炎、上腕二頭筋腱鞘炎、肩甲上腕関節滑膜炎(後方または腋窩のいずれか)、少なくとも片方の股関節に滑膜炎または転子滑液包炎(1点)
– 超音波検査が可能な場合、両方の肩に三角筋下滑液包炎、上腕二頭筋腱鞘炎、肩甲上腕関節滑膜炎(1点)
巨細胞性動脈炎との関連について
生検または画像診断で証明された巨細胞性動脈炎患者の約40~60%がリウマチ性多発筋痛である。リウマチ性多発筋痛症は、臨床的に明らかな巨細胞性動脈炎に数週間、数カ月、数年先行することもあれば、巨細胞性動脈炎と同時に発症することもあり、また、巨細胞性動脈炎の診断時にリウマチ性多発筋痛症の症状がなかったとしても、頭蓋症状の自己限定性エピソード77の後や再発時に発症することもある。主にリウマチ性多発筋痛を呈し、無症候性巨細胞性動脈炎であることが判明した人の割合は、0%~40%以上と幅がある
側頭動脈炎の合併にはつねに注意が必要と。どちらが先行するパターンもありうるようです。
これらの研究は、グルココルチコイドにトシリズマブを追加することがリウマチ性多発筋痛症患者において有益であることを示しており
TNF阻害薬は意味ありませんでしたがIL-6阻害薬は効く可能性あり
リウマチ性多発筋痛症患者の43%が、診断後1年以内に少なくとも1回は再発した
すぐに減量すると再発率が高いことも有名ですよね。
以上になりますが、新しい内容はあまりないですね。阪大免疫内科のページがやはりまとまっています。
最新の治療としてアクテムラやケブザラが効くのは有名です。JAK阻害薬も効くんじゃないかということで試されていますが、seronegativeRAと診断を間違えていて効いたなどの可能性もあり評価は難しそうです。結局病態がまだわかっていないので、治療も曖昧にならざるを得ないのですね。リウマチなどこの分野はいろいろわかってきたようでわかっていないのがもどかしいです。将来の発展に期待します。
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