ときどき離島での診療のこつ!みたいな本に以下のようなことが書かれています。
「大腿骨頚部骨折疑いの患者では恥骨結合に聴診器を当てて左右の膝蓋骨を軽く叩くと骨折部での骨伝導の差で骨折側は音の伝わりが悪くなることで診断できる」
ということが書かれています。
たしかに原理的には可能ですが使う機会はまずありません。
というのも頚部骨折garden4や転子部骨折で転位のあるものでは明らかに下肢が外旋していますし来た瞬間に骨折しているという診断はできます。聴診するまでもないです。
garden2,3、転位の少ない転子部骨折だと聴診での左右差がようやくでてくるかと思いますがこのレベルの骨折ではレントゲンで他科の医師でもほとんど診断できます。そしてレントゲンもない離島でこのような患者さんがおられた場合、まず立ち上がることができないので即大きな病院に運ばれて入院になります。
転位のないgarden1では骨皮質の連続性が保たれているので聴診で左右差はでないはずです。
そしてこのgarden1(外反嵌入型)こそが他科の医師からは見逃されやすい骨折なのです。人によっては歩けます。救急搬送されてきてもSLRやかかと浮かしが可能であったりします。
そしてなにより、整形外科医は聴診器を持たないのでほとんどこれを実践している人はいないでしょう笑