「死なない科」に合う人合わない人

学生時代こんな意見をよく聞きました。

 

「人が死ぬのは診たくないから眼科になる」

 

眼科のみならず、皮膚科、耳鼻科、整形外科、病理、放射線科などは人の生き死にとは少し遠い科です(腫瘍をすれば別ですが)

 

一方でこんな意見もありました。

 

「どんな人でもいずれ死ぬんだから諦めついていいじゃん。大腸ガンの手術失敗してもどうせいいつか死ぬ。家族も諦めがつく。むしろ死なない科は手術失敗してもその人死なないから一生付き合っていくんだぜ?」

 

どちらも一理ある意見です。

実際働き始めるとわかりますが、この死なない科での、「他の病気で死ぬまでフォローし続けなければいけない」はなかなかしんどいものです。

 

例えば骨折の手術でひどい後遺症が残って、もちろんそれが手術が原因ではなく受傷した時点で相当ひどい骨折であって仕方ない場合でも付き合っていかねばなりません。自分のやった手術が本当によかったのか常に反省します。

 

一方例えば大腸がんの方で受診時点で多発転移があってステージⅣであったとします。

手術をしても余命数年。手術できない可能性もあります。抗癌剤治療などはあるかと思いますが、延命的処置になる可能性があります。このような方に主治医として携わり、いかに良い最期を送っていただくか考える、これもまたやりがいのあるものです。

 

人によっては「延命などしたくないから命とかかわらない科がいい」「命に直結する科は怖い」「命を扱わなければ医者じゃない」「後遺症の残った患者さんと一生付き合うのは嫌だ」

などいろいろな考えがあると思います。

 

マッチングを終えた6年生にはまだ科を選ぶチャンスがあります。

じっくり考えて結論を出していただきたいです。