貧血と鉄剤のお話

貧血には鉄剤を。というのはもう言うまでもないと思います。

貧血の鑑別は別にして、出血による貧血に対して鉄剤を投与する場合を考えます。要は純粋な鉄欠乏状態での投薬についてです。

まず知っておくべき知識

・鉄分はFe2+として十二指腸で吸収される

・胃の胃酸でpHが下がっているとFe3+はFe2+に還元される→食後はpH上がっているので不向きなものがある

・お茶・コーヒーのタンニンはキレートを形成し吸収が落ちる

・便が黒くなる。悪心心窩部痛便秘などの副作用

 

 

では鉄剤について

・フェロ・グラデュメット  8.8円 1日2回 空腹時

古い鉄剤です。胃酸の影響がなければ吸収されにくいですので空腹時投与ですがその場合は悪心などの副作用がでやすい。出にくいように徐放性製剤とされている。胃切除後の人やPPI内服している人には使いにくい。除法型なので血中濃度は徐々に上がります。

色が赤い

 

・フェロミア クエン酸第一鉄Na錠50mg  5.6円 1日2回食後

クエン酸と結合し胃内のpHの影響を受けにくくなった薬です。徐放性ではない

食後でも可能であり、PPI内服していたり、胃切除後でも使いやすい。

お茶でも影響を受けにくい

色は白色

 

・フェルムカプセル100mg 8.8円 1日1回食後

カプセルタイプの徐放性でメリットはフェロミアに同じ。1日1回で良いとされる。

水色と青色のカプセル 結構毒々しい

 

・インクレミンシロップ 1日3,4回

小児科でよく使う水剤

甘くて飲みやすい。

 

効果が出るまでの期間ですが・・・

1~2週間で網状赤血球が増える
3~4週間:ヘモグロビンが上昇

と結構時間がかかります。気長に待ちましょう。

フェリチンが回復するまでには3ヶ月くらいかかります。

 

薬価や用法などを考えるとフェルムがどの点でも優れているのでは・・・・と思ってしまいますが、合う人合わない人がいるのでいろいろな選択肢を知っているのが良いです