点滴から入れる栄養の知識:末梢点滴だけで何日生きれるか

医療

結論から言うと末梢点滴なら数ヶ月くらいのイメージです。

中心静脈からいれる高濃度の輸液でようやく数年といった感じですね。

食べ物から胃を通して栄養をとるというのはすごく優れた仕組みで、点滴で代替することはできません。

ですから胃ろうというものが存在するのですね。

入院中はなにかと絶食になることはありますが短期間なのでなんとかなってます。

どこまでしっかり理解してオーダーできているでしょうか?

まずは5大栄養素についてです。

・糖質

・脂質

・タンパク質

・ビタミン

・ミネラル(微量元素)

の5つです。

このうち最初の3つはカロリーがありますのでこれを組み合わせて必要カロリーにしなければいけません。

例えば糖質250g=1000kcal

脂質50g=450kcal

タンパク質60g=240kcal

で合計1690calとなり成人男性の普通体型の人が必要な量になります。

ところがこれを点滴でいれるのは大変です。入れようと思えば入れれますが、そのかわり水分が1日4,5000mlと大変なことになります。一日4,5000mlの点滴に耐えられる人なんてそうそういません。なおさら口からではなく点滴で栄養をとることを強要されるような状況下のひとでは無理です。浸透圧や溶解の関係でこれ以上濃度をこくすることはできないようです。中心静脈栄養でも経口摂取には勝てないという大前提で学んでください。経口摂取は偉大なのです。

・糖質

主なエネルギー源になります。これはたいていの点滴に入っています。

ソルデム3A 500mlだと21gのブドウ糖が入っています。

ブドウ糖は1gあたり4kcalなので、84kcalの栄養になります(少な!)

一日4本点滴してりゃ大丈夫かと思いきや。それでも普段の朝ごはん程度しかありません。

・脂質

細胞膜をつくるのに必要です

イントラリポスなどで補充します。

浸透圧がたかく血管痛があるのでゆっくり点滴しなければいけません。

20%250ml製剤で3時間の時間が必要です。

1gで9kcalあります。20%250ml製剤でおよそ200kcalになります。

なぜか中心静脈栄養だと思われていますが、末梢から点滴可能です。

・タンパク質

タンパク質はアミノ酸から合成されます。

末梢からいけるものですとビーフリードなどが代表的。

アルブミンが下がった時などに必要ですが、入れたからといってすぐにアルブミンが合成されるわけではありません。炎症がある場合などはCRP(C-reactive protein)を合成するのに使われてしまいます

・ビタミン

以外に忘れがちなビタミン類。リメファーやビタジェクトなどで補いましょう。ビタミンB1はグルコースの利用に必要です

・ミネラル(微量元素)

鉄とか亜鉛とかのことです。微量ですが不足すると

以上を全部入れなければいけません。もちろん短期間だとソルデム3A 1500mlを点滴でも大丈夫なのですが(1週間くらいはいけますが・・・絶食する理由によっては致命的となります)

え、考えるのがめんどくさくなってきた?

そんなあなたには「エルネオパ」がおすすめです。

もちろんTPN用の製剤ですので中心静脈カテーテルが入っているのが前提ですが、エルベオパは以上5つがバランス良く入っています。

成分をみてみましょう エルネオパ2号です

容量1000mlでブドウ糖175g ナトリウム50mEq アミノ酸30g ビタミン、微量元素配合で総熱量820kcalです。

でも成人の必用カロリーにはまだ足りないです。そして脂質が入っていません。

体重60kgの男性ですと、これを1500mlとイントラリポスを使用して輸液量1700mlカロリーも1500程度いれることができます。

ただ実際にはこんなふうにはいきません。

糖尿病もちですと血糖値が大変なことになります…

末梢からですと、ビーフリード3本+イントラリポスくらいが限界になります・・・これでいけるのは数ヶ月。

本当に老衰で食事が食べれなくなったらそれは寿命ということです。無理に点滴で延命などしないように