なんとなく発熱している人に処方したくなる経口の抗菌薬ですが100害あって1利なしです。
研修医レベルで使える経口抗菌薬は前に記事にしましたので使ってはいけないものを覚えましょう。
その代表例が経口の第3世代セフェムです。
メイアクト セフジトレンピボキシル
フロモックス セフカペンピボキシル
バナン セフポドキシム
セフゾン セフジニル
トミロン セフテラムピボキシル
セフテム セフチブテン
この6つは使ってはいけません!
処方される場面としては
歯科での抜歯後の予防、咽頭炎などの感染症、何も症状がないのに38度以上の熱がでて、採血すると好中球優位に白血球上昇をしているときなどでしょうか・・・
使ってはいけない理由はただひとつ!体内に吸収されないからです。
経口の抗生剤は点滴とは違い腸管から吸収される必要があります。
その吸収率:バイオアベイラビリティ(生物学的利用率 bioavailability)は一番高いバナンでも50%なのです。メイアクトはなんと14%!フロモックスなんて「不明」となっています。。。
ただでさえ200mgを1日2回と少ない容量なのに(点滴であれば1gを3回くらい点滴しますよね)そのうえ吸収もされないのです。
その結果、偽膜性腸炎を引き起こします。
吸収されないので腸内で細菌を荒らしまくるのです。
さらに悪い事に、小児では、ピボキシル基の入っている抗菌薬を用いた場合、低カルニチン血症を起こしその結果低血糖、痙攣、脳症等を誘発、後遺症を残す症例報告もあります。
フロモックス、メイアクト、トミロンがピボキシル基を持つ抗菌薬です。
このように、ただでさえ使用量が少なく、そのうえ吸収もされないような抗菌薬は耐性菌を作り出すのみです。
ではなぜこのような薬が乱用されるかというと
①なんとなく効いた気がする。
たまたま投薬のタイミングが自然に解熱するタイミングとあっていただけです。たいていの細菌感染症は自力で治せる力を人間は持っています。
②患者さんが出してほしいと言うから。
それを決めるのが医師の仕事なので、不要であればいらないと言うべきです。評判命の開業医ではむずかしいようですが・・・
経口ではなく点滴注射の第三世代セフェム(セフトリアキソン、セフタジシム)は有用な薬ですのでぜひとも使えるようになりましょう。