まず私は鍼に関しては、エビデンスに乏しいと考えています。施術する人によって刺激する場所も違うでしょうし(流派もあるらしい)、プラセボが作れずRCTなどで比較のしようがないからです。(施術者もわからないような偽鍼はあるみたいです)
ですがやってみたら効いたという人がいるのは事実でこれは認めます。
最近ツイッターで開業医の内科系医師(非整形外科)が診療に鍼を導入して稼ごうとしている風潮があり調べてみました。
そもそも鍼治療にエビデンスはあるのか
公的な団体がいろいろ載せていますが共通して言えるのは「エビデンスはあるが質が悪かったりして強く推奨はされていない」ということです。
・プラセボが作れない(偽鍼はあるようだけどそれを使ったRCTはまだない?)
・プラセボとして使われた浅い刺激でも改善している。
これが研究結果を悩ませる理由ですね。
大概の研究の場合、よくなるかそのままという方が多く、より悪くなった方はあまりいないようです。
タイトルの戦場鍼とは戦場で使える鍼治療ということで考案されたものです。露出している耳に行う治療であるためすぐに施術できて有効とのこと。
ここに打つようです。
これに関してもエビデンスは微妙のようす。レビューでは
BFA had no significant improvement in the pain intensity felt by adults suffering from pain.
有意な改善は認めなかったと書いています。ここでも研究デザイン、質が悪いと指摘されています。
つまり現段階ではなんともいえないと思います。
さて問題はこれを医師がどう扱えばいいかという話です。
私はやはりエビデンスが蓄積されていない以上、同意することはできません。今後よい研究がでてエビデンスが蓄積されてきたら患者さんにもおすすめしていこうと思いますが。
柔道整復などに支払う療養費は保険組合からも問題視されています。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/111116_01.pdf
こちらは医療費と療養費の概要ですが、柔道整復は医療費の1%くらいで鍼はそのさらに10分の1くらいです。全体から比べたら大したことはないですが、不適切な利用ということでマークされているわけですね。
効くかどうかは現状不明なわけで、やるなら自費でするべきなのではと考えます。医師がそれに同意をするかというとやはりするべきではありません。
「他人が自分の見ていないことで自分の理解できていないことを患者に行うのに同意をして更に責任も取れ」なんて同意書、この領域以外に存在するのでしょうか。まずそこをなんとかしてほしいと思います。
保険適応をみとめるのであれば医師がお手上げ状態になってから同意を得てやれ、というのは確かに理解できるのですが、今ですら不適切利用されている状態なので、今後この制度が変わっていくことに期待です。その際は「整形外科疾患なら整形外科専門医が同意すること」とかなる可能性はありますが。
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