前立腺がん造骨性骨転移にランマーク?

医療

ふと疑問症例がありました。骨転移に有効な薬ランマークを造骨性骨転移する前立腺がんに適応するのかどうかという問題です。

たしかにパット見は骨が強くなっているのですから治療する必要がないように思えます。しかしこれは間違いです。すべての骨転移では破骨細胞が先頭にいて骨吸収が起こっているのです。ですから治療するのが正解です。

3つ根拠が挙げられています。

骨吸収抑制薬の有効性:
骨吸収抑制薬(ビスホスホネート製剤やデノスマブなど)は、造骨性転移であっても有効性が示されています。これは、造骨性転移においても骨吸収と骨形成のバランスが崩れているためです。
骨関連事象(SRE)の予防:
複数の研究で、骨吸収抑制薬が骨関連事象(骨折、骨痛、脊髄圧迫など)のリスクを低減することが示されています。
生存期間への影響:
一部の研究では、骨吸収抑制薬の使用が全生存期間の延長に寄与する可能性が示唆されていますが、この点については更なる研究が必要です。

これらの知見を支持する主な文献には以下のようなものがあります:

Saad F, et al. (2004) Long-term efficacy of zoledronic acid for the prevention of skeletal complications in patients with metastatic hormone-refractory prostate cancer. Journal of the National Cancer Institute, 96(11):879-882.

Long-term efficacy of zoledronic acid for the prevention of skeletal complications in patients with metastatic hormone-refractory prostate cancer - PubMed
In a placebo-controlled randomized clinical trial, zoledronic acid (4 mg via a 15-minute infusion ev...

この研究では、ゾレドロン酸(ビスホスホネート製剤)が前立腺がん骨転移患者のSREリスクを有意に低減することを示しています。

Smith MR, et al. (2012) Denosumab and bone-metastasis-free survival in men with castration-resistant prostate cancer: results of a phase 3, randomised, placebo-controlled trial. Lancet, 379(9810):39-46.

この研究では、デノスマブが骨転移のない去勢抵抗性前立腺がん患者の骨転移発生を遅らせ、骨転移フリー生存期間を延長することを示しました。

Parker C, et al. (2013) Alpha emitter radium-223 and survival in metastatic prostate cancer. New England Journal of Medicine, 369(3):213-223.

この研究では、α線放出核種であるラジウム-223が、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がん患者の全生存期間を延長することを示しました。これは直接的な骨吸収抑制薬ではありませんが、骨転移に対する治療効果を示す重要な研究です。

まぁいろんな文献がありますが期間についてはなんとも決まったことは言えない様子。半年でいいというものもあれば2年間というものもあります。原疾患の病勢によるのでたしかになんともいえなさそう。

でも覚えておかないといけないのは「造骨性骨転移でも骨吸収抑制薬を使う」ことです。それだけわすれないように

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