ウォシュレットは危険!

医療

 2007年1月から2012年12月までに当院血液内科病棟の入院患者より分離されたmetallo–β-lactamase (MBL)産生緑膿菌24株について細菌学的,遺伝子学的解析を施行すると共に,その患者背景を調査した.POT法を用いた遺伝子タイピングでは24株すべてが同一株と判定された.患者リスク因子では抗緑膿菌活性のある抗菌薬使用が21例,末梢静脈カテーテル留置が20例,過去一年以内のクリーンルーム入室歴が18例であった.器具の洗浄消毒方法の見直し,手指衛生や抗菌薬適正使用の徹底などを実施したが血液内科病棟における新規発生は減少しなかった.環境培養の結果などから伝播ルートとして温水洗浄便座を疑い,同便座ノズルの培養を行ったところMBL産生緑膿菌保菌者が使用した便座ノズルの27.2%から同菌が検出された.2013年1月,温水洗浄便座の使用を停止したところ新規のMBL産生緑膿菌検出数は減少した.その後,同便座の使用を再開したところ再び増加したため,2014年1月以降使用を停止した.血液内科病棟への入院1000 patints-daysあたりの新規MBL産生緑膿菌検出数をMBL産生緑膿菌感染率とすると,温水洗浄便座使用時は0.535,中止中は0.120であった(p=0.0038).血液内科病棟における温水洗浄便座の使用はMBL産生緑膿菌院内伝播の一因となり得ると考えられた.

温水洗浄便座汚染が伝播の一因と考えられたmetallo–β-lactamase産生緑膿菌集団感染事例の検討
J-STAGE

いやこわすぎますね。器具の洗浄などを見直しても改善しなかったのに温水便座をきれいにしたらみんなよくなったって。さらに驚きなのはこれほどの割合で相関するなら入院患者さんはこのウォシュレットを使ったということですよね。我が家ではウォシュレットは自分の家では使うけど外出先では使わないように言われていました。なんとなく汚いイメージですし、たしかに菌がついていてもおかしくありません。実際このような事例になっているわけですし。

他院の事例ですがMRSA感染が多くてなにをしても感染源がわからず、最終的にはライトハンドルだった、という例も聞いたことがあります。

やっぱりどこかに超強力な感染源というのはあるものなんですね。そこさえ気をつけていれば大丈夫というものではないですが、ウォシュレットはなかなか気づきにくい・・・・気づいた人は逆にすごいです。環境培養などの結果からそこを疑ったということですので地道な調査の継続結果ですね。

感染は入院中に起こってほしくない合併症の一つ。やはり病院というのは変な菌だらけなのです。なるべく早く退院するべきですし、そこで働いている我々も変な菌を持っていると考えるべきなんですかね・・・

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